コピー複合機のような精密機械は必ず故障する
コピー複合機の内部には数百種類ものパーツが綿密に設計されて詰め込まれている。実はコピーという技術は非常に難しいもので、日本がトップレベルの技術力を持っている。それでも日常的に故障が起きるもの。ここでは、重大なエラーからご自身で簡単に修理できる簡単なものまで、コピー複合機を使っていると必ずといっていいほど遭遇するトラブルの原因と対処方法について解説する。カウンター保守契約などに加入していればサービスマンを呼んでも費用をかけずに修理できるが、そうでない場合は有料となるので、極力ご自身で修理する方法を最低限身につけておいても損は無いだろう。
(はじめに)コピー機トラブルの3割は自分でも解決できる
コピー複合機は精密機械につき、様々なタイミングで故障が頻発する。紙詰まり、筋状の黒い線、異音、エラーコードなど、メーカー・機種により様々な表現がされるが、ほとんどの場合は液晶パネル上にどんなトラブルが起きたかメッセージが表示されるだろう。
ここでは、そんなコピー複合機のトラブルが起きたときに、どんな対処をしたら良いのか、修理を依頼したらいくらかかるものなのか、再発防止にどんなことをすれば良いのかなど、参考にしていただければ幸いじゃ。
(その壱)紙詰まり編
コピー複合機は非常にデリケートで、室温の変化や湿気・汚れなどにより紙詰まりが頻発する。目に見える位置で簡単に取れるものから、詰まり方によっては本体内部にトラブルを起こす紙詰まりまである。
紙詰まりの原因と対策、ご自身で修理できる紙詰まりの直し方についてご紹介しよう。
コピー複合機の紙詰まりが起きる3つの原因と対策
紙詰まりは用紙や環境が原因になることが多く、梅雨の時期や寒暖の差が激しい冬などによく起きる。
紙詰まりの頻度を抑えるためにご自身でもできる簡単な対策をご紹介する。
1-1)用紙が原因による紙詰まり
再生紙や裏紙のほか、折れ曲がった用紙での印刷はコピー複合機に負担をかけるため、なるべく使用しないように注意しよう。
用紙をセットする際にはトレーの最大積載枚数を厳守し、過度に入れすぎることはやめよう。また、新品の用紙は2枚重なってしまうこともあるため、セット前に手で簡単にさばいてから設置すると良い。
1-2)ほこり・汚れが原因による紙詰まり
ほこりや汚れによってコピー複合機のローラーのすべりが悪くなることがあるため、コピー複合機本体をほこりの多い場所に設置することは避けよう。
また、コピー複合機のカセット部分や側面のローラー部分にほこりがたまらないように、2週間~4週間程度に一度、掃除してあげることも大切じゃ。掃除の際は、掃除用のエアダスターやクリーニングシートなどを使うと良いぞ。
1-3)湿度・室温が原因による紙詰まり
湿度や室温によって、用紙は水気を帯びたり、パーツが故障したりすることも紙詰まりの原因となる。
給紙カセット内の隙間に除湿効果のあるシリカゲルを入れるといった一工夫で紙詰まりの頻度を大きく減らすことができる。また、コピー複合機・用紙ともに日の当たらない場所に設置・保管することを心がけよう。
コピー複合機の紙詰まりを自分で直すには?
目に見えている紙詰まりならば、ご自身で修理することも簡単にできる。具体的な紙詰まりの修理方法は以下のQAにまとめているので参考にしていただきたい。
- ●紙詰まりの関連QA
- ・コピー機・複合機の紙詰まりは自分で直せますか?
紙詰まりが目に見えないのにエラーが消えない場合は注意が必要で、コピー複合機内部に破片などが詰まっていたり、パーツ交換が必要になるケースもあるため、無理やり分解しようとせずにサービスマンを呼ぼう。
(その弐)印刷不良編
印刷不良の大半は清掃で解決することが多いが、症状によってはパーツの交換が必要な場合もある。ここではご自身で行える簡単な清掃手順から問題の切り分けなどの方法をご紹介しよう。
コピー複合機でよくある印刷不良3つの現象と対処方法
印刷物に黒い線や黒い点が入ったり、白い筋状の抜けがあったり、トナーが浮いてザラついているなど、コピーやFAX受信した印刷物にトラブルがあった場合のよくある症状と対処方法をまとめたので参考にしていただければ幸いじゃ。
2-1)印刷物に線が入ってしまう場合
印刷物に線が入る場合は清掃またはパーツ交換で直ることがある。どのタイミングで黒い線が入ってしまうかが重要なので、以下の3パターンに当てはまるかまずはチェックしてみよう。
2-1-a)鏡面コピーの時だけ線が入る場合
原因は、ガラス原稿台のミラーに汚れやほこりが付着していることが多く、ほとんど清掃で修理が可能だ。
ガラス面の裏表とミラー部分の清掃が必要だが、内部には高圧電流が流れているため非常に危険。表面だけ清掃しても直らない場合は、決してご自身では作業せずにサービスマンに依頼しよう。
2-1-b)原稿送り装置(ADF)を使った時だけ線に入る場合
原因は、原稿台ガラス面横にある細長いガラスや、原稿送り装置内部でのほこり・汚れの付着などが考えられる。
ガラス面近くで汚れが付着した場合、濡れた柔らかい布で汚れを拭き落としてから、しっかり乾拭きすれば修理可能だ。まれに、セロハンテープの破片やのり等の見えにくい汚れでも線が出ることがあるため、指で触って確認してみよう。
それでも直らない場合、原稿送り装置内部にほこり・汚れがついている可能性が高いため、サービスマンに修理を依頼しよう。部品を分解してしっかり内部を清掃してくれる。
2-1-c)パソコンからの印刷や受信FAXの印刷の時だけ線が入る
原因は、結露などによる印字不良か、内部パーツである「ブレード」が劣化した際に起きる症状だ。
5分ほどの簡単なクリーニングで直ることもあるのでまずは以下のリンクで紹介している修理方法を試してみていただきたい。それでも改善できない場合は、ブレード交換などが必要なのでサービスマンを派遣しよう。
2-1-d)上記a~c以外で黒い線または白い線が入ってしまう場合
上記3点の箇所でなければ残念ながらご自身で修理することは諦めよう。
特に黒い線は汚れが原因になることが多いが、白い線(白い抜け)の場合は内部パーツの不良や汚れによるものが多い。
- 【白い線や黒い線が入る他の原因一例】
- ・レーザー照射口(LSU)の汚れ
- ・トナーを搬送するための現像剤・現像ユニットの不良
- ・ドラムに帯電させるためのメインチャージャーの汚れや劣化
いずれの場合も、分解が必要になりサービスマンでなければ修理ができないので、修理依頼をして原因究明と対策をしてもらおう。
2-2)印刷物に線ではない汚れが付いたり、手についたりする
紙に熱と圧力を加えてトナーを定着させる「定着ローラー」の傷や不良、ドラムから受け取ったトナーを紙に転写させる「転写ベルト」の劣化や異物混入などが原因だと考えられる。該当部品を交換する必要があるため、ご自身での修理は不可能だ。サービスマンの修理を依頼しよう。
2-3)印刷物に色むらがあったり、触るとザラついたりする
トナーを搬送するための「現像剤・現像ユニット」の不良が原因だと考える。該当部品を交換する必要があるため、ご自身での修理は不可能だ。サービスマンの修理を依頼しよう。
印刷物に黒い線や汚れが入ったときの対処方法は?
印刷物に黒い線や黒い点などがはいった場合のほとんどは清掃で直ることが多い。具体的な清掃方法などを以下のQAでまとめているので参考にしていただきたい。
- ●印字不良の関連QA
- コピー機で印刷したら黒い線が入るのですが、どこを清掃したらいいですか?
粉が定着しないで落ちてしまったり、トナーが浮き出てしまうような現象はパーツ交換が必要になるため、サービスマンを呼ぼう。
(その参)エラーコード・エラーメッセージ編
コピー複合機の操作パネルにエラーコードやエラーメッセージが表示された場合は操作不能になることが多く、困ってお電話をいただくケースも非常に多い。ここでは、ご自身で行える簡単な直し方とエラーコードの一例をご紹介するので参考にしていただきたい。
非常に多いSHARPのエラーコードTOP5の症状と対策
SHARPのコピー機となるが、以下のエラーコードはとてもお問い合わせ多いものを以下に列記した。どんな内容のエラーなのか、どうすれば直せるのかを記載しているので、もし遭遇したときは参考にしていただければ幸いじゃ。
3-1)H5-01
このH5-01というエラーコードは、数あるトラブルの中でも非常に報告の多いエラーで、同じ箇所で紙詰まりが5回繰り返したときに発生するというエラーコードとなる。
この場合はパーツに不良があることが多く、ご自身でできる方法としてはカセット・側面などけられる箇所を全て開けて用紙の端切れがないかよく確認し、主電源のON/OFFを行うことくらいじゃ。
しかし一度エラーが出てしまった場合、ほとんどの場合で「H5-01」のエラーが消えずに操作できなくなるため、サービスマンに修理を依頼しよう。
コピー複合機でエラーコード「H5-01」が表示された場合はどうしたらいいですか?
3-2)L4-06
L4-06は一次転写ユニットと呼ばれる部品が、経年劣化によりうまく動かなかった時のエラーコードじゃ。
解決方法は、まず主電源のON/OFFと、一次転写ユニットの抜き差しで直る可能性が高いが、抜き差しだけでも難易度が高いため素直にサービスマンに修理を依頼することをオススメする。
逆にこの作業で解決出来なかった場合は、経年劣化のため新しい一次転写ユニットに買い換える必要があるので、修理を依頼しよう。
なお、カウンター保守契約に加入してなかった場合は、高額な交換費用となるので覚悟しておこう。(モデルにより価格が異なる)
コピー複合機でエラーコード「L4-06」が表示された場合はどうしたらいいですか?
3-3)H3-00,H3-01,H3-02
H3から始まるこのエラーコードは、トナーを用紙に定着させる「定着器」と呼ばれるパーツの異常が原因となる。
電源のON/OFFを試して解決しない場合はパーツ交換が必要になるため、サービスマンに修理を依頼しよう。
コピー複合機でエラーコード「H3-00,H3-01,H3-02」が表示された場合はどうしたらいいですか?
3-4)C4-00、C4-02、C4-03、C4-10、C4-20
C4から始まるエラーコードは、PTCと呼ばれる内部パーツの不良が原因で、症状として全く動作しなくなる確率が非常に高い。
基本的に電源のON/OFFでは修復できずパーツ交換や脱着が必要のため、サービスマンに修理を依頼しよう。
コピー複合機でエラーコード「C4-XX」が表示された場合はどうしたらいいですか?
3-5)F2系
F2-ではじまるエラーコードは、トナーが非純正だったり、トナー系故障の可能性も考えられる。
「電源を入れなおして下さい」というエラーメッセージが表示されることもあるが、再起動では復旧できる見込みは50%以下と期待はできない。
F2の後ろに続く番号で色や場所を指示しているため、以下の表記を参照いただき、該当色の新品純正トナーを入れ直してみよう。それでも、解決しなかった場合は、サービスマンに依頼しよう。
- F2-64:ブラックトナー補給動作トラブル
- F2-65:シアントナー補給動作トラブル
- F2-66:マゼンダトナー補給動作トラブル
- F2-67:イエロートナー補給動作トラブル
- F2-70:不適切ブラックトナー検知
- F2-71:不適切シアントナー検知
- F2-72:不適切マゼンダトナー検知
- F2-73:不適切イエロートナー検知
コピー複合機でエラーコード「F2-XX」が表示された場合はどうしたらいいですか?
エラーコードが出た時にできることは?
エラーコードが表示された場合、まず最初に主電源のON/OFFを試そう。
なお、電源はコントロールパネル内にある電源ボタンではなく、本体カバーを開けたところにある主電源を操作しよう。
- ●エラーコード・エラーメッセージの関連QA
- コピー複合機でエラーコードが表示された場合はどうすればいいですか?
(その四)異音編
コピー複合機から通常の音とは異なる「ガァガァ」「キュルキュル」「ギィギィ」といった変な音(異音)がした場合は、簡単に取りはずしできるパーツの差し直しなどで直る場合もある。ご自身でも対処できる方法や問題の切り分け方法についてご紹介しよう。
お使いのコピー複合機からこんな異音がしたら?原因と対処方法
ある日突然コピー複合機から異音が鳴ったら、どこかのパーツが外れてたり設置場所に問題があることがある。まずは問題の切り分け方として、以下のケースに当てはまっていないか確認してみよう。
4-1)コピー複合機が不安定な場所に設置されていないか確認しよう
まずは設置場所を確認しよう。変な段差の上に一部の脚が乗っていたり、斜めに傾いていないか再確認しよう。
4-2)トナーカートリッジを再セットしよう
トナーカートリッジが正しくセットされていないと異音が出る場合がある。そんなトナー設置位置付近から異音が鳴ったら、すべてのトナーカートリッジをセットし直してみよう。
また、中国製品などの非純正トナー(リサイクルトナーなど)を利用しているときも異音が発生するケースがあるので、使っているトナーが純正品かも一度確認してみよう。
4-3)給紙トレイを抜き差ししてみよう
用紙の給紙トレイが本体に確実にセットされていない場合や、用紙の詰め込みすぎで正常に作動せずに異音が発生することがある。すべての用紙サイズの給紙トレイに用紙を詰め込み過ぎていないか確認して、本体に確実にセットするようにしよう。
4-4)本体内部に異物や紙片がある
以前の紙詰まり一部が破れて内部に残っている場合や、何らかの異物が入れ混んだ場合も異音が発生するケースがある。紙詰まりを取り除いたあとに異音が鳴ったら、もう一度よく確認してみよう。
コピー複合機から異音が出た時にできることは?
コピー複合機で異音がする原因は、内部のパーツの可能性もあるが、直前の操作が原因で起こる場合もある。故障したと決めつけずに、一度どのあたりで異音がしているかを見てみると、意外と簡単にご自身で修理できることもある。
ただ、直前の作業をしていなかったり、突然異音が鳴り出した場合などは内部の部品が原因の可能性が高いので、迷わずサービスマンに依頼をしよう。
- ●異音の関連QA
- コピー複合機から異音がするのですが、どうしたら良いでしょうか?
(その五)まとめ
コピー複合機のよくあるトラブル事例で代表的なものをいくつかご紹介したが、ご自身で修理できるのは全体の3割程度だ。
紙詰まりのような目に見えて分かりやすいトラブルや清掃でどうにかなるものであれば費用も時間も手間もかけずにご自身で修理することが可能だが、エラーコードや異音のような明らかに内部パーツの不良が原因と思われるものは、迷わずコピー機の修理を依頼しよう。